LOVE カヌチ
『LOVEカヌチ』へのようこそ!
日記が主流ですが時々、創作SSだったりオリジナルを上げてます。
是非、読んでってくださいね☆
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7月7日は七夕。
年に一度、織姫と彦星が出会える日。
「おじいちゃん、竹笹取ってきたよ~」
アキは取れたての笹を抱えて家に入る。
「おかえりアキ!
竹笹なんてどうするの?食べるの?」
オルタが目を丸くして聞いた。
「そうそう、パンダみたいにムシャムシャって、んなわけないだろ!」
すっかりお兄さん気取りのシンがつっこむ。
「そっか。オルタは知らなかったか。
7月7日はね、織姫様っていう綺麗な女の人と彦星様って言う男の人が年に一度会ってもいいよ
って言われてお星様の川でお話したりできる日なの。
『たなばた』っていうのよ」
「ふぅん、で、笹は?」
「その七夕にね、竹笹にお願い事を書いて川に流すと書いた事が叶うんだって」
「へぇ~」
「・・・あーもうっ、早速書こうぜ、オルタ」
「うんっ!」
「おぉ、立派な竹を選んできたんじゃのぉ~」
家の奥からおじいちゃんが顔を出した。
引き続いてカスガさんも顔を出す。
「見事だな」
「えへへへ、頑張っちゃいました」
「うんうん、立派じゃ。さてワシも書くかのぉ」
「では私も・・・」
「あ~カスガさん。書く前に手伝って欲しいんですけど。
笹を立てて、飾りつけの手伝いをしてほしいんです」
「うむ、分かった」
机ではあれやこれやとおじいちゃん達がはしゃいでいた。
「これが終わったらゴハンにしますね」
「・・しかし、いいもんだな」
「え、何がですか?」
カスガさんがつぶやくように言った。
普段は真顔な彼の顔が穏やかになっていた。
「こうしてアキの手伝いをして、傍らではシンやオルタが騒いでトウラ殿がいて。
家庭的だと思う」
何気ない一言に顔中が赤くなる。
「か、家庭的!?」
「幸せな家族の絵のように感じるのだ」
冷静になれば確かにそうだった。
オルタはカスガさんに懐いているしおじいちゃんは信頼してくれている。
シンはライバル視してるようだけど・・・
「ふふ、そうですね。
あ、その飾りで最後です」
「そうか、もう終わったか」
「おつかれさまでした」
脚立を降りるのに差し出された手に甘える。
降りようと足を下ろすと抱きかかえられすんなりと地面に着いてしまった。
「あ、すいません」
「構わぬ。さて、我々も書くとしよう」
「はい!」
「出来たー!!」
最後の一枚を書き終えて全員が手を叩く。
「さて、あとは笹にくくりつけるだけだけど。
おじいちゃんは何て書いたの?」
「わしか?ワシは、ほれ『みなが健康でありますように』じゃ」
「うん、いいね。カスガさんは?」
「トウラ殿と似ているな。『幸せでありますように』だ」
「カスガさんらしい。シンは?」
「『アキがオレの物になりますように』!」
「ぶっっ!!」
飲みかけたお茶がコップに舞い戻る。
「シン!」
「ま、まぁ良いじゃないか。ではオルタはどうじゃ?」
「僕は『弟が欲しい』!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
辺りが急に静まり返る。
意識していてもしていなくてもカスガさんを直視できない。
おじいちゃんはおじいちゃんで何と返そうか必死に言葉を捜している。
たった一人を除いて・・・
「くくく、あははははは!!
オルタ、ナイスだな!俺もそうしよっと!」
その言葉に立ち上がる。
「「シン、やめなさい!!」」
言葉が重なり隣を見ると真っ赤になってなだめようとするカスガさんがいた。
目が合って思いきりそらしてしまう。
だめだ、見ることが出来ない。
というより、これからどうしたらいいの!?
あれこれ悩んでいるとおじいちゃんが口を開いた。
「オルタももうそんな年頃になったんじゃの。
お兄さんになってみたいと思ったんじゃの。
えらいぞ、オルタ」
頭を撫でてもらい得意げなオルタを見ると私の言動がいかに幼稚だったかを物語っていた。
「・・あの、ゴハンにしよっか!」
台所に立っても先程の事が頭から離れない。
『弟が欲しい』
おじいちゃんも言っていたけれどオルタもお兄ちゃんになりたいという願望が出てくる年頃なんだと
知らされた。
「なんじゃ、さっきのことが頭から離れんようじゃの?」
心配しておじいちゃんが隣に立った。
「うん、だって弟ってことは」
「ワシもそう思う」
突然の言葉に包丁が止まる。
「え」
「もうアキもえぇ歳じゃ。カスガさんも良い青年じゃしワシにも子供らにも良くしてくれとる。
こういうことは女方の親から言うもんじゃろが生憎おらんからのぉ。
孫の顔も見てみたいのぉ」
「じゃあ『ミヤズ』から『キセナ』に変わっていいの?」
「そうしたいと心から願うならそうされれば良い」
ポン、と肩を叩かれる。
苗字が変わる=結婚。
チラっと振り向くと4人で机を囲んで食事をする光景が目に入った。
「悪く、ない、かも」
3年後、私はアキ・ミヤズからアキ・キセナへと名前を変え男の子と女の子の双子を産んだ。
シンやオルタは妹と弟が出来たと大喜びをして、おじいちゃんは「よぉ頑張った!」と褒めてくれた。
カスガさんは目に涙を溜め、双子を嬉しそうに眺めている。
年に一度、織姫と彦星が出会える日。
「おじいちゃん、竹笹取ってきたよ~」
アキは取れたての笹を抱えて家に入る。
「おかえりアキ!
竹笹なんてどうするの?食べるの?」
オルタが目を丸くして聞いた。
「そうそう、パンダみたいにムシャムシャって、んなわけないだろ!」
すっかりお兄さん気取りのシンがつっこむ。
「そっか。オルタは知らなかったか。
7月7日はね、織姫様っていう綺麗な女の人と彦星様って言う男の人が年に一度会ってもいいよ
って言われてお星様の川でお話したりできる日なの。
『たなばた』っていうのよ」
「ふぅん、で、笹は?」
「その七夕にね、竹笹にお願い事を書いて川に流すと書いた事が叶うんだって」
「へぇ~」
「・・・あーもうっ、早速書こうぜ、オルタ」
「うんっ!」
「おぉ、立派な竹を選んできたんじゃのぉ~」
家の奥からおじいちゃんが顔を出した。
引き続いてカスガさんも顔を出す。
「見事だな」
「えへへへ、頑張っちゃいました」
「うんうん、立派じゃ。さてワシも書くかのぉ」
「では私も・・・」
「あ~カスガさん。書く前に手伝って欲しいんですけど。
笹を立てて、飾りつけの手伝いをしてほしいんです」
「うむ、分かった」
机ではあれやこれやとおじいちゃん達がはしゃいでいた。
「これが終わったらゴハンにしますね」
「・・しかし、いいもんだな」
「え、何がですか?」
カスガさんがつぶやくように言った。
普段は真顔な彼の顔が穏やかになっていた。
「こうしてアキの手伝いをして、傍らではシンやオルタが騒いでトウラ殿がいて。
家庭的だと思う」
何気ない一言に顔中が赤くなる。
「か、家庭的!?」
「幸せな家族の絵のように感じるのだ」
冷静になれば確かにそうだった。
オルタはカスガさんに懐いているしおじいちゃんは信頼してくれている。
シンはライバル視してるようだけど・・・
「ふふ、そうですね。
あ、その飾りで最後です」
「そうか、もう終わったか」
「おつかれさまでした」
脚立を降りるのに差し出された手に甘える。
降りようと足を下ろすと抱きかかえられすんなりと地面に着いてしまった。
「あ、すいません」
「構わぬ。さて、我々も書くとしよう」
「はい!」
「出来たー!!」
最後の一枚を書き終えて全員が手を叩く。
「さて、あとは笹にくくりつけるだけだけど。
おじいちゃんは何て書いたの?」
「わしか?ワシは、ほれ『みなが健康でありますように』じゃ」
「うん、いいね。カスガさんは?」
「トウラ殿と似ているな。『幸せでありますように』だ」
「カスガさんらしい。シンは?」
「『アキがオレの物になりますように』!」
「ぶっっ!!」
飲みかけたお茶がコップに舞い戻る。
「シン!」
「ま、まぁ良いじゃないか。ではオルタはどうじゃ?」
「僕は『弟が欲しい』!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
辺りが急に静まり返る。
意識していてもしていなくてもカスガさんを直視できない。
おじいちゃんはおじいちゃんで何と返そうか必死に言葉を捜している。
たった一人を除いて・・・
「くくく、あははははは!!
オルタ、ナイスだな!俺もそうしよっと!」
その言葉に立ち上がる。
「「シン、やめなさい!!」」
言葉が重なり隣を見ると真っ赤になってなだめようとするカスガさんがいた。
目が合って思いきりそらしてしまう。
だめだ、見ることが出来ない。
というより、これからどうしたらいいの!?
あれこれ悩んでいるとおじいちゃんが口を開いた。
「オルタももうそんな年頃になったんじゃの。
お兄さんになってみたいと思ったんじゃの。
えらいぞ、オルタ」
頭を撫でてもらい得意げなオルタを見ると私の言動がいかに幼稚だったかを物語っていた。
「・・あの、ゴハンにしよっか!」
台所に立っても先程の事が頭から離れない。
『弟が欲しい』
おじいちゃんも言っていたけれどオルタもお兄ちゃんになりたいという願望が出てくる年頃なんだと
知らされた。
「なんじゃ、さっきのことが頭から離れんようじゃの?」
心配しておじいちゃんが隣に立った。
「うん、だって弟ってことは」
「ワシもそう思う」
突然の言葉に包丁が止まる。
「え」
「もうアキもえぇ歳じゃ。カスガさんも良い青年じゃしワシにも子供らにも良くしてくれとる。
こういうことは女方の親から言うもんじゃろが生憎おらんからのぉ。
孫の顔も見てみたいのぉ」
「じゃあ『ミヤズ』から『キセナ』に変わっていいの?」
「そうしたいと心から願うならそうされれば良い」
ポン、と肩を叩かれる。
苗字が変わる=結婚。
チラっと振り向くと4人で机を囲んで食事をする光景が目に入った。
「悪く、ない、かも」
3年後、私はアキ・ミヤズからアキ・キセナへと名前を変え男の子と女の子の双子を産んだ。
シンやオルタは妹と弟が出来たと大喜びをして、おじいちゃんは「よぉ頑張った!」と褒めてくれた。
カスガさんは目に涙を溜め、双子を嬉しそうに眺めている。
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だいぶと長い間、更新してませんでした。
お訪ね、ありがとうございます。
今回のテーマ『舞踏会』
先日いとこの結婚式がありまして妹のドレスを買いに行った時ちょうど本文のアキ状態になりまして・・・
というか私と母でさせました(笑)
そこからヒントを得て今作ったばっかです。
本文中に出てきますサナトさんの格好ですがカヌチ黒の公式HP・日記のページにて一日だけ
クリスマスの時更新されたサナトの壁紙が配信されていたのを見て決めました。
普段「カスガさん」言ってる私ですがあのサナトさんにはクラクラきました・・・
そして。
本文中のカスガは少しSを入れてみました。
お楽しみに!
もうすぐファンブックの発売ですね!
管理人はすごーく楽しみですっ!
ゆあん
今日は年に一度の舞踏会。
国中のランダムに選ばれた女性・男性のみが参加できる王国主催の会。
審判の刻が過ぎてから初めての舞踏会で今年は両国からの選出者が出席していた。
綺麗に着飾った女性や紳士的に振舞う男性の中に挙動不審な子が一名。
「どうして私なの?」
誰にも目を合わせないようにうつむき加減で真っ赤なカーペットの上を足早に歩く。
「招待状を拝見します」
ボーイさんの様な人に止められ黙って招待状を渡す。
名前と顔を確認してどうぞ、と通してもらう。
去り際、少し後ろを向くとその人はニッコリ笑って手を小さく振った。
恥ずかしくなって小走りになってしまう。
早く、早く壁際の誰もいない所に行きたいっ!!
人に流されるようにダンスホールへ行くとその豪華さに足が止まった。
キレイなシャンデリアが中央で部屋を照らし黒や赤の鮮やかなドレスやスーツを着た人たちが
優雅にダンスを楽しんでいた。
人を縫うようにボーイさんは片手にドリンクやフードを持って歩いている。
入り口付近で立ち止まる自分に「ドリンクはいかがですか?」と薦めてくる。
「じゃあ」
端に近かったグラスを手に取りそそくさと壁際に向かう。
「どうして私なのよ~」
早く終わってほしい、そればかりを願っていた。
事の発端は3ヶ月前。
買い物から帰ってくると机の上に自分宛の手紙が置いてあった。
王国からの封筒で何気なしに封を切って中身を取り出した。
『アキ・ミヤズ殿
あなたを王国主催の舞踏会へご招待いたします』
すぐに招待状を握り締めセリの元へと走った。
「セリ!!」
「どうしたのさ」
「あ、あの、これ!招待状、来ちゃった・・・」
「う、嘘でしょーー!!」
「どどど、どうしよう、どうしよう」
「どうしようって行きなさいよ」
友人の返事は他人事のように軽い。
「行きなさいよ、って私ドレスなんて持ってないしダンスなんて踊れない」
「ったく、じゃあ明日セラさんとチナキさんと見に行こう」
「あ、明日?」
「あーもうっ!明日よ!!
朝一で迎えに行くから!」
その夜はなかなか寝付けなかった。
「何アキちゃん、招待状来たんですって~?」
「はい・・・」
会うなりチナキさんに言われる。
セリに情報網はすごい。
「良かったじゃないか。社交界デビューだな」
「良くないです!他人事だと思ってみんな・・・」
「何をそんなに落ち込むことがあるんだ。
私たちはあざ笑ってるのではないぞ?
むしろこんなに近い身内から招待状が届いたということが嬉しいのだからな」
セラさんに頭をポンポンと叩かれる。
「で、アキはどんなドレスが着たい?」
「どんなって言われても・・・」
なかなか寝付けなかった昨夜、ドレスのことを考えていた。
こんなのがいいと思ったものはあるけれど背やデザインがあるかどうか悩んでいた。
「じゃかたっぱしから着るしかないさね!」
がっちり腕を掴まれお店へと入る。
次から次へと持って来る服を着ては替え、着ては替えの繰り返し。
胸元が開いたドレスやギリギリまでスリットが入ったもの他たくさんの服に着替えた。
「じゃ次は自分だな」
チナキさんから手が離れたと思ったらセラさんに腕を取られ二軒目へ。
「この子のサイズにあうもの全て出してくれ」
相変わらず豪快なセラさんに言われるがまま着替える。
チナキさん紹介の店とは違い上品な生地を使うお店で気に入ったものはあったが手が出なかった。
昼食を挟んで今度はセリ紹介の店へ。
「同い年だし手頃な価格でキレイにかわいい服がいいよね」
目がいつになくキラキラと輝いていて文句は言えない。
が、ここでも気に入るものはなかった。
「アキって本当はこんなのがいいっていうのあったんじゃないの?」
気が付けばもう夕方になっていた。
一日で一生分のドレスの試着をしただろう。
「そうなの、かなぁ」
「かなぁって。
何かあるなら付き合うよ?もうこの際だから着てみればいいよ」
セリの言葉に勇気を出す。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
とあるお店の前に4人は立ち止まった。
ここが最後のお店で、ここでイメージ通りのものがなければ明日モルトカまで行かなければならない。
当然、チナキさんはお店があるので行けない。
これが本当のラストチャンスだった。
勇気を出してドアを開ける。
店員さんに自分のイメージと予算を伝えてありったけのものを出してもらった。
試着室に入り脱ぎ着を繰り返す。
何着目かの時、自分のイメージにぴったりのものと出会った。
黒いロングスカートのチャイナドレスで背中が少し開いたものだった。
「どう、でしょうか?」
恐る恐るドアを開け3人に見せる。
「いいじゃあないか」
「これなら並みのドレスよりマシだな」
「いいよ、アキ!」
「素敵です~、お似合いですよ!」
3人+店員さんも含めて大絶賛だった。
ところが。
「でもそれ、予約が入っておりまして。本日取りに来られ・・・」
「こんにちは~」
明るく入ってきたお客と目があって思わず声が上がった。
「フタバさん!!」
「フタバだと!?」
「ちょ、ちょっとなんでここに。
っていうか何でアタシが予約したその服アキちゃんが着てるのよ」
「予約って、お前だったのか!」
セラさんがアキの前に立ちはだかる。
「予約を取り消せ」
いきなりのことだった。
「そ、そんなセラさん」
「いいから黙ってな。
フタバ、舞踏会の事は知ってるな?
その招待状が昨日アキのところに届いてな。
散々ドレス探しに周ったんだがいいのが見つからず最後にたどり着いたのがここでアキも自分も
これが気に入ったんだ。
頼む、譲ってやってくれ」
舞踏会の事、招待状の事を聞いてフタバさんが口をパクパクさせた。
「アキちゃんのところに招待状が!?
で、でもこれはアタシの親戚の子に・・・」
「じゃ、じゃあその子に渡してください!
あの新しく入荷するのはいつですか?」
「え、え~っと、それが・・・」
さっきまで笑顔だった店員さんの顔が急に曇った。
「はぁ・・・ムリよ、アキちゃん」
深いため息の後、フタバさんが静かに言った。
「もうこれ一着しかないのよ。
仮にあったとしても同じようなものを着てる人がいるのはちょっと嫌でしょ?
その親戚の子も招待状が来たって言ってたんだけど、まぁいいわ、譲ってあげる」
「あ、ありがとうございます!!」
「それともう一つ、いい情報よ♪
警備隊の面々が強制参加なんですって。
アクトにクラトにヒノカ、ミトシ、シンにウキツ、サナトも」
「言わないでおこうか迷ったが、うちからはカスガもオウバも参加だ」
一瞬目の前が暗くなった。
せっかくの行く気がなくなってしまった。
「私、やっぱりやめます」
「え、え、ちょ、ちょっと!どうしてよ」
「だって!どうして警備隊とカスガさんオウバさんが参加なんですか!?」
「ご褒美だよ、いつも頑張ってる褒美だ」
「そ、そんな~・・・」
あっという間の3ヶ月だった。
メイクは今日フタバさんがしてくれた。
ヘアスタイルはチナキさんが少し大人っぽくなるように、香水はセリが貸してくれた。
おじいちゃんは家を出る時『嫁に出すようだ』と泣いていた。
セラさんは褒美休暇中のみんなと交代でここの警備をしてくれている。
知ってる人がいると心強いけどいつ全員が来るのか分からないしきっと笑われる。
緊張で喉が渇いて手にしたグラスの中身を少し飲む。
アルコールのニオイに少し咽る。
今更変えてほしいとは言えず、持ったままただ時間が過ぎるのを待った。
目の前を通る男性の姿にそうなんじゃないかと怯えてしまう。
だけどただ通り過ぎるだけ。
出来ればみんなもそうして通り過ぎてほしい。
願った瞬間だった。
ホールの中がざわつき始め出入り口に人が集まる。
集まった群衆の中心に知った青い髪が見えた。
「ミトシ、君!?」
私をヤスナから連れ帰ったことで有名になった元警備隊隊員は相変わらずの人気で元親衛隊隊員も
そこそこ人気があった。
ボーっと眺めていると横から人の気配がした。
長い黒い髪、サナトさんだった。
スーツに身を包み黒ぶちのメガネをしていた。
いつもとは全然違う印象にドキドキと鼓動が早くなった。
「あ、こんばんわ」
なるべく他人のフリをしようと挨拶だけをして去ろうとした。
ところがすっと前に回りこまれ顔をじっと見つめられた。
「っ!!」
動けずにいるとサナトさんの顔からふっと笑顔がこぼれた。
「アキ、か。招待状を受け取ったと聞いたが何ゆえこんな端にいる?」
「あの場所違い、というか似つかわしくない場所だから目立たないようにと思って」
顔が上げられない。
とうとう見つかったことに何だか泣きそうになってきた。
サナトさんは隣で壁にもたれて動かない。
離れれば済むことだったがなんとなくそれが出来なかった。
相変わらず他のみんなは囲まれていて身動きが取れないでいるようだった。
「アキよ」
「はい」
呼ばれて上げた顔の下にすっと手を置かれ軽く口付けをされる。
「サナトさん!」
「似つかわしくない場所かどうかはこれから感じてみるがいい。
我と共にひと時の時間を」
左手の指に唇が触れるかどうかのキスをされ顔が赤くなる。
体にフィットしたチャイナの腰に手を回し人だかりにエスコートされる。
回された手が熱い。
「ここがどこかお忘れの紳士・淑女のみなさま」
静かなサナトさんの声に人がすっと引いていく。
引いていった人の中からカスガさんやみんなの顔が見えた。
「一曲、私めと踊っていただきたい」
胸の前で手を組み礼をするサナトさんに従うしかなかった。
「一曲だけですよ」
手を合わせるサナトさんに小声で訴えた。
音楽が始まる。
背中に回された手が素肌に触れる。
「涙目で端にいられたんじゃ参加していただいた意味がない。
こんなにキレイな女性を放っておく意味が私には解せぬ」
キレイだと言われ足が止まる。
途端に次のステップを踏もうとして足を踏んづけてしまった。
「ご、ごめ」
「良い、構わぬ」
慣れた手つきでリードされる。
回された手が腰に落ち、上体を倒される。
「支えておる、力を抜け」
言われるがまま力を抜くと髪がかすかに床に着いた。
力を入れられ元の状態に起きる。
途中何度かみんなの目線とぶつかったけど悔しそうな顔をしていた。
「サナト」
アクトさんの近くを通る時サナトさんに声をかけた。
出されたものを背中にまわした手で優雅に受け取り目の前に出される。
一本はユリの花で茎は短く切られていた。
そのユリを髪に差し込む。
次にオウバさんから手渡されたのが真っ赤なバラだった。
口にくわえると取れと目で合図を送られる。
左手でバラを受け取ってサナトさんの首の後ろで持ち手を変え右手でスーツのポケットに入れる。
これはセラさんから教わったもの。
だんだん曲がスローになりラストを迎えた。
曲が止み拍手が起きる。
顔を見られたくなくてサナトさんのジャケットで隠す。
「あー恥ずかしい」
こぼした言葉にふっと笑うサナトさん。
「お次は、カスガが良い。
カスガ、お相手を」
とん、っと肩をはじかれぐらついたアキをカスガが止めた。
顔を上げると琥珀の瞳に捕まった。
「そのまま」
子供を静かにさせるように人差し指を立てて顔の前で止める。
サナトさんから受け取ったバラを顔の前を通り肩へ抜けていく。
右手の指にカスガさんの指とバラが絡まった時次の曲が始まった。
一回転、ターンをして向かい合わせになる。
胸に軍隊のバッジが光る。
ボーイさんの前を通る時、カスガさんが赤いお酒が入ったグラスを手にした。
一口飲んでグラスをアキの口に付ける。
流れ込むお酒に少しむせ、顔を上げると口元がかすかに緩んでいた。
とても扇情的でいつものカスガとは比べものにならないほど素敵だと思った。
結局全員の相手をさせられ、こうしてアキの長い舞踏会はふけていった。
招待状を出すように指示をしたのはクガミとウキネだったと聞いたのはのちのことだった。
‐END‐
本当のつぶやきになってしまいますが・・・
自分には夢があります。
小学生の頃から抱き続ける夢。
何度も挫折しそうになったり、一時期忘れていたりしましたが
叶えたい夢があります。
今、このブログが、ここのブログ更新が夢への階段やと私は思ってます。
趣味に『お話書き』とありますが作家になりたくて。
日々自転車で通り過ぎる人、電車がいつも一緒の人、街並、山の風景。
必ず一緒じゃない風景や時間の動き、人の動きを毎日何かの作品にして
作品とまではいかないけど文章にして書き留めてます。
決して文才がある方じゃないし、まだまだ作品数も少ない。
でも諦めないこと。
私は音楽を少しかじったというか、部活動で打楽器をしていました。
それの名残か、無名に近いあるバンドが好きです。
誰かと一緒じゃないとライブなんて到底無理なバンドですが
自分たちで作る詞は社会のど真ん中を突いてます。
ある日電車に乗っていたらシルバーシートにサラリーマンが座り
次の駅でおばあちゃんが乗り込んでくるとその人は寝たフリを始めた。
世の中はごったがえしているのに肝心な事にはフタをする。
きっとこれをご覧になってる方の中に「あ!分かった!」という方も
いらっしゃるかも知れませんね。
こんな歌詞を、曲を歌ってる人たちのレパートリーの中に夢を諦めるな
という強いメッセージを込められた曲があるんです。
残念ながらお聞かせする事は出来ませんが・・・
私はその曲を支えに夢を持ち続けてきました。
今もこれからもそういうつもりです。
今日の夕刊にピアノコンクールで全盲の方が優勝したというのを聞いて
実際ニュースで耳にして感動しました。
と同時に健常なのに何やってるんやろ?とも感じました。
もっと頑張らなきゃいけない。
自分が満足いくその日まで書き留めて作品にしていかなければいけない。
そう思った一日でした。
ゆあん
自分には夢があります。
小学生の頃から抱き続ける夢。
何度も挫折しそうになったり、一時期忘れていたりしましたが
叶えたい夢があります。
今、このブログが、ここのブログ更新が夢への階段やと私は思ってます。
趣味に『お話書き』とありますが作家になりたくて。
日々自転車で通り過ぎる人、電車がいつも一緒の人、街並、山の風景。
必ず一緒じゃない風景や時間の動き、人の動きを毎日何かの作品にして
作品とまではいかないけど文章にして書き留めてます。
決して文才がある方じゃないし、まだまだ作品数も少ない。
でも諦めないこと。
私は音楽を少しかじったというか、部活動で打楽器をしていました。
それの名残か、無名に近いあるバンドが好きです。
誰かと一緒じゃないとライブなんて到底無理なバンドですが
自分たちで作る詞は社会のど真ん中を突いてます。
ある日電車に乗っていたらシルバーシートにサラリーマンが座り
次の駅でおばあちゃんが乗り込んでくるとその人は寝たフリを始めた。
世の中はごったがえしているのに肝心な事にはフタをする。
きっとこれをご覧になってる方の中に「あ!分かった!」という方も
いらっしゃるかも知れませんね。
こんな歌詞を、曲を歌ってる人たちのレパートリーの中に夢を諦めるな
という強いメッセージを込められた曲があるんです。
残念ながらお聞かせする事は出来ませんが・・・
私はその曲を支えに夢を持ち続けてきました。
今もこれからもそういうつもりです。
今日の夕刊にピアノコンクールで全盲の方が優勝したというのを聞いて
実際ニュースで耳にして感動しました。
と同時に健常なのに何やってるんやろ?とも感じました。
もっと頑張らなきゃいけない。
自分が満足いくその日まで書き留めて作品にしていかなければいけない。
そう思った一日でした。
ゆあん
日々、拍手やお訪ね、ありがとうございます☆
やっと、久々に更新しました!!
今回初の白黒まぜまぜ。
楽しかったです、考えるの。
途中「あれ、誰が出てなかったっけ?」って年齢表出してきたぐらいですが・・・
謝らなければならないのが2点ほど。
①王様コンビは不在です。ごめんなさい。
②アクトファンの方、ごめんなさい。
以上を踏まえて読んでいただければ幸いです・・・
やっと、久々に更新しました!!
今回初の白黒まぜまぜ。
楽しかったです、考えるの。
途中「あれ、誰が出てなかったっけ?」って年齢表出してきたぐらいですが・・・
謝らなければならないのが2点ほど。
①王様コンビは不在です。ごめんなさい。
②アクトファンの方、ごめんなさい。
以上を踏まえて読んでいただければ幸いです・・・
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プロフィール
HN:
ゆあん
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/10/23
職業:
事務員
趣味:
お話書き
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